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時潮

時潮「終わり」の始まり

番号制特別委員会委員長 奥津 年弘
改憲を目論む安倍政権を終わりに

昨年7月10日に実施された参議院選挙は、安倍首相の経済・外交の成果の宣伝、消費税率引き上げ延期により、与党が大勝し、改憲派で2/3超すことになりました。今回、7月2日の東京都議会議員選挙では、自民党は、改選前57議席から、半数に満たない23議席に減らしました。

激変したのは、豊洲市場移転など都政問題もさることながら、首相の傲慢な国会運営、森友・加計学園疑惑、閣僚・自民党議員の違法・横暴な発言・態度・資金疑惑、など国民の声を聞かず国政を私物化した結果によることは言うまでもありません。今年6月6日に、首相は、自民党幹部会に指示をだし、自衛隊存在明記や教育の無償化などについて議論を進め、年内に取りまとめる方針を確認しました。しかしその半月たらずの6月24日に、安倍首相は神戸市内で講演し、秋に想定される臨時国会の衆参憲法調査会に自民党案を提出すると言い出しました。

支持率が下がり始めた最中に、改憲を急ぐのは、なにがなんでも自分が首相在任中に改憲をしたいという自己顕示の執念と焦りであることは明白です。
税経新人会の理念は、会則に現憲法が平和と民主主義を維持してきた礎と考えること、これを業務内外で生かしていくことを明記しています。この一年は、改憲が大きな政治的論点になります。国政の私物化のみならず、戦前回帰の内容で「憲法を私物化」をしようとする安倍政権は、来年12月13日が衆議院の任期満了を待たずに終わりにしなければなりません。

共謀罪を廃止に

7月11日、「共謀罪」が施行されました。6月15日、国民の過半数がまだ議論の必要というなか、委員会議論を打ち切り採決省略、本会議での採決を強行しました。問題点が多々残る法律を成立から1か月もせず施行しました。
弁護士の伊藤朝日太郎さんは、東京税経新人会総会記念講演で、まずは、暴力団犯罪やオレオレ詐欺などで、共謀罪を適用し「成果」を強調し、盗聴などの調査権限拡大を行い、治安維持法のように徐々に国民の運動や意見表明を弾圧していくことを目論んでいるのではないかと述べました。この稀代の悪法を停止・廃止しなければなりません。

消費税税率引上げ停止を

7月4日、政府は、迫田英典国税庁長官の後任に、佐川理財局長を次期国税庁長官とするという発表しました。迫田氏は、3月24日の参院予算委員会で、理財局長当時、森友学園への便宜疑惑について「政治的な配慮をするべくもなかった」と否定した疑惑の当事者です。佐川理財局長は、現国有地売却問題の担当局長として、国会での追及に「記録も残っていない」などと答弁を繰り返したやはり疑惑隠しの当事者です。
首相は、お友達に国有財産や税金の大盤振る舞いを行い、官僚は、忖度や疑惑封じで行政をゆがめる。納税者が納得できるはずありません。
庶民に過酷な消費税の税率引上げ予定は、再来年10月1日です。納税者が声を上げ多数となれば必ず実施不能となるでしょう。

核兵器廃絶の新たなスタート

7月7日には、国連で、核兵器の保有や使用を禁止する「核兵器禁止条約」が国連加盟193ヵ国の63%の122ヵ国により採択されました(保留1、反対1)。核兵器廃絶を目指した新たな始まりです。日本政府は、唯一の被爆国でありながら、一貫して採択自体に反対し「妨害」してきました。
ニュージーランドは、西側諸国といわれ日本と似た立場にありながら、採択に向け大きな役割を果たました。国内で政権が代わっても非核政策を維持しつつ、そのため核兵器の存否を明らかにしない米艦船の入港を拒否し続けています。
現在の憲法の精神を実践するのは、主体的な問題で、決して不可能ではありません。

私たちは民主主義・税制・平和の課題と向き合わねばなりません。会員の皆さん、意見を持ち寄り9月8日下関全国研究集会でお会いしましょう。

(おくつ・としひろ:東京会)

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