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時潮

情報の津波が日本を襲う
全国協議会研究部長 疋田 英司

大阪駅の変貌がめまぐるしい。大阪駅北側からヨドバシカメラがあり、大阪駅に入れば三越伊勢丹、大丸、阪神とタテ一列に百貨店が並ぶ。それと平行して東に阪急百貨店がリニューアルオープンした。どん底の不況といわれる大阪で、このような商業施設が集中した理由はよくわからないが、物見高い関西人はとりあえず「ひやかし」に行く。

せいぜい珍しいお菓子でも買って帰る予定だったが、珍しいものに目がいくと購買意欲が騒ぎ出す。ところで気がついたのは、東京系の店が多いこと。東京系の情報発信力はすごい。女の子たちは「かわいい」系の洋服やアクセサリ、スイーツに群がっている。やはり消費を支えるのは女性だということをつくづく感じさせる風景でもある。

さらにSHIBUYA109が天王寺駅前にオープンした。天王寺といえば、もっとも下町の雰囲気を醸し出すターミナルといえる。そこから数キロ離れたところに通天閣のそびえる新世界があり、有名な串かつ屋が多い。吉本タレントの写真が表に貼られ、そこにも女の子が集まってくる。「コテコテの大阪」を感じるテーマパークのような雰囲気で、コワモテのオジサンや大声張り上げるテキヤのおっさん、奇妙に元気な大阪のおばちゃんもテーマパークのキャストのように思える。

すべての動員力はインターネットやメディアの力が大きい。携帯電話を片手に物色する様子は普通の風景だ。情報を制することがビジネスの第一歩のようだ。かくいう私もテレビでこれら情報を知り、スマホ(スマートフォン)で店舗情報を探って、見慣れたはずの街角の見慣れぬ街並みを散歩する。

多くの情報の中から、自分にあった商品や場所を探し出すのは難しい。しかし、最近は私が購買意欲を注ぐであろう情報が知らぬ間に送られてくる。知らないメールアドレスから「新刊情報」や「旅行の案内」はては「バイアグラ」まで売りに来る。いつしかメールボックスは読みきれないほどの迷惑メールで占領される。送られてくる言葉は、英語、中国語、ロシア語、アラビア語など、訳が分からない。私の個人情報は、どのように世界を飛び回っているのだろうか。そんなメールの中にウィルスが混じっている。ワクチンができてない新種のウィルスには対処しようがない。高いセキュリティソフトも、ネット上でウィルスが見つかってからでないとワクチンはできない。対策ができたころには、個人情報は流れた後。流れた情報は取り返しがきかない。

税理士の仕事は情報を操作することで成り立っている。顧客から預かった情報を、情報管理ソフト(=会計ソフト)で整理し、情報を分析して決算を組む。さらに情報を駆使して税制を判断し申告書を作成する。最近は通信回線を使って申告手続きをする。おかげで便利でローコストになった。

しかし、本当にローコストなのだろうか。税理士会から税理士賠償保険に加えて、情報漏えいの場合の賠償保険も勧誘される。ひとたび事故が発生すれば、小さな税理士事務所など簡単に吹っ飛んでしまう賠償を負う羽目になる。東京電力の現状は、他山の石ではない。安全神話にあぐらをかいて座っていると、神話が崩れたときに「想定外」ではすまない。

そんな危険と隣り合わせな共通番号制度。セキュリティは万全という言葉に想定外はないのだろうか。

(ひきた・えいじ:大阪会)


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