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(4)世帯構成と税負担のあり方 |
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配偶者との関係
「配偶者控除等(配偶者控除・配偶者特別控除)については・・・見直しを図るべきとする意見が多く見られた」、「納税者本人は配偶者控除等の適用を受け、配偶者が基礎控除の適用を受けることで、二重に控除を享受する場合がある」と配偶者控除等の廃止を示唆している。
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扶養控除との関係
「成年者を担税力の面で配慮が必要な存在として扶養控除の対象に一律に位置付ける必要性は乏しい」、「特定扶養控除は...個々の家庭によって事情は様々であること等を踏まえれば、その意義は薄れてきている」と廃止を示唆している。 |
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(5)所得の種類と課税のあり方 |
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給与所得
「給与所得控除の性格について...再構築する」、「特定支出控除の対象範囲等を検討する」としている。すでに税調は、「主要国で給与所得者に認められている勤務費用に相当する支出を含め、給与所得者の必要経費でないかと言われるものを拾い出してみると、その金額は平均で年間50万円程度になり、年間収入(674万円)の1割程度という試算がえられる」としている(2000年中期答申)。

特定支出控除の制度とは、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合、申告により、その超える部分を控除する制度である(所得税法57条の2)。特定支出とは、自己負担した通勤費、転勤費用、職務の遂行に直接必要な研修費、職務の遂行に直接必要な資格取得費、単身赴任者の帰宅旅費(月4往復まで)などである。年収の30%を超える金額を自己負担することなど皆無といってよく、特定支出控除の制度の適用者も皆無に近い。
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事業所得
「記帳の適正化を図るに際しては・・・例えば、実額での必要経費は正しい記帳に基づく場合に限ることとし、その他の場合には、一定の概算経費のみ認める仕組みを設ける」と必要経費を認めない場合を考えている。

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退職所得
「勤続20年を境に1年当たりの控除額が急増する仕組みや勤続年数が短期間でも退職金に係る所得の2分の1にしか課税されないという仕組みを見直し」と退職金について増税を提起する。

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年金所得
「現行の公的年金等控除について...適正化を図ることを考慮すべきである」と述べる。政府税調は、「公的年金等控除については、社会保険料控除がある以上、本来不要と考えられる」とまで述べている(02年基本方針)。04年度税制改定で65歳以上の公的年金控除額の引き下げと老年者控除の廃止がなされた(05年から実施)。公的年金等控除が「不要」(ゼロ)となれば、収入金額がそのまま所得になる。それだけではない。配偶者控除や扶養控除などの所得控除は、現在、控除対象配偶者や扶養親族の合計所得金額が38万円以下でなければ適用されない。公的年金等控除が廃止・縮減されれば、今まで扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除などの対象になっていた年金受給者が控除の対象から外れることの影響も少なくない。給与所得者は所得控除が減るだけではなく、扶養手当が減らされるケースもでる。 |