主張・提言

特集 第52回神奈川全国研究集会・速報
特別決議
護憲の旗を掲げて奮闘する決議
今年は日本国憲法が制定されて70年を迎えた。
基本的人権の尊重、国民主権、平和主義などを掲げた理念は、今日なお色褪せることなく、その価値を多くの国民が享受している。

しかし、その理念をないがしろにし、戦前回帰を望む勢力が日本を席巻している。
自民党の改憲草案は国民主権を否定し、国家の目的のために基本的人権は制限されると主張する。過去に国を戦争へと導き、国民を不幸に導いた時代と似た考えだ。その政権は司法が憲法違反と判断した選挙制度により支えられている。しかし、政権は司法判断を意に介せず選挙制度を改めようとしない。その政権が、平和主義を否定し、集団的自衛権の行使を実行できる法律を昨年強行可決した。さらに緊急事態条項を憲法に盛り込み、憲法を停止し権力を掌握する計画を立てている。

日本国憲法を獲得した日本国民は、その理念の実現のため、教育と勤労、そして納税を通じてこの国の発展と安定を支えてきた。

しかし、新自由主義を信奉するアベノミクスは強者に多大な便宜をはかることで、経済が成長し国民にも効果が波及すると主張した。しかし、国民は疲弊する一方で一部の者に富が集中し社会格差をかつてなく拡大させた。年金資産など国民が築き上げた財産まで一部の強者に供出し、リニア工事の資金のために国の借金を増やそうとしている。

アベノミクスを支えるための徴税機構も強化されている。税務当局は国家権力を背景とした強権的税務調査や国税通則法の調査手続きを回避する偽計的ハイブリット調査、生活や生命を脅かす強権的徴税システムを推進する。この権力構造を支えるマイナンバー制度は国民監視のシステムとして築かれつつある。そのマイナンバー制度を推進する役割を税理士に担わせるため、税理士会への支配を強めている。

日本国憲法を否定し、国民の財産や命をないがしろにする攻撃が続く今日、職業会計人の中で護憲の旗を掲げる税経新人会の役割と任務は重大である。

私たちは税の専門家の立場から日本国憲法の理念を護り発展させ、多くの国民と連帯する決意であることをここに決議する。
2016年 9月 3日
税経新人会 全国協議会
第52回 神奈川全国研究集会