主張・提言

税理士法改正に関する決議
税理士会は、税理士の入会が強制されるいわゆる強制加入団体であり、一般団体の内部の法理とは異なったものが必要であり、加入を強制された会員の権利保護は、通常の団体より高いレベルで維持されなければならない。それによって、会員の権利保護はもちろんのこと、税理士会内の民主的な運営が確保されることにより、国民のための税理士制度をより価値あるものに変え、ひいては納税者の利益にも繋がる。

このような観点から日税連の税理士法「改正案」の進行状況は、会員の意見聴取は行っているがそれは形だけのものであり、提出された会員意見がどのような形で論議され、反映されたか明確な説明がないまま今日に至っている。また、今回の「改正案」は「研修受講の義務化」「税務援助の従事義務」など会員に負担を強いる規定が提案されているにもかかわらず、会内の討議を停止し、監督官庁である財務省・国税庁との「勉強会」で最終意見案をまとめようとしている。

私たちは日税連のこのような主客転倒した非民主的な会務運営を改め、会員の意を汲み上げる民主的な手続を示すことを強く要望する。
また、「改正案」は今回も税理士制度の理念や税理士の使命などの根本的な問題に手がつけられていない。税理士は、納税者の代理人として租税制度全般にわたって、独立して納税者の権利を擁護すべき使命を負い、使命の明確化、代理権の確立、自治権・自主権の確立などの税理士制度改革が必要とされる。

特に、課税庁の監督権と自治権・自主権の確立の問題がある。現行の税理士法は財務大臣に税理士の懲戒権・監督権を付与している。税理士が、税法の解釈適用あるいは事実の認定に関して、税務官公署と対立関係になることは避けられない。この場合、納税者の権利を擁護するために税務官公署と対等の立場に立つ納税者の代理人として、その信ずる主張を述べなければならない。しかし、制度上は、税理士は対立関係にある相手方の課税庁の監督下に置かれているという、矛盾した構造を改めなければならない。

私たちは、税務代理における代理人として、税務訴訟における補佐人として、制度的な保障として課税庁の監督権から独立し、自治権・自主権の確立のため、法改正を行うよう強く求める。

2012年9月8日
税経新人会全国協議会
第48回名古屋全国研究集会