主張・提言

税経新人会全国協議会は、1月20日に行われた全国常任理事会で、次の要望書を採決し、2月9日に日本税理士会連合会会長宛てに送付しました。

日本税理士会連合会
会長 神津 信一 殿

税経新人会全国協議会
理事長 土屋 信行


要望書

2018年6月4日、財務省は学校法人「森友学園」への国有地売却取引に関する決裁文書 改ざん問題について調査報告書を公表し、文書の改ざん、破棄の経緯が明らかになりました。 また、佐川宣寿前国税庁長官は、この問題に関して、国会において虚偽答弁を行っていました。国会は、憲法第四十一条において「国権の最高機関であつて国の唯一の立法機関である」 と、また、憲法第四十三条において「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とされています。国権の最高機関であり、全国民を代表する国会に対し改ざんし た公文書を提出したという事実、また、国会において虚偽答弁を行ったという事実に対しては、全国民を愚弄するものであり、憤怒の念に駆られるものであります。

税理士法第四十五条は、税理士が脱税相談等をした場合の懲戒について次のように定めています。

『財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成 をしたとき、又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは、二年以内の税理士業務の 停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。以下略』

公文書の改ざんを行ったということは、税理士法に定める、故意に、真正の事実に反して 書類を作成したことと同一の趣意であり、税理士であればまさに税理士業務の禁止という非常に重い懲戒処分の対象となるものです。いやしくも税理士に対して懲戒処分を行う立場にある財務大臣を長とする財務省が、公文書の改ざんを行ったということ、また、この改ざんや破棄の「方向性を決定づけた」のが前国税庁長官の佐川宣寿氏であったこと、加えて佐川宣寿氏は国会において虚偽答弁を行ったということに対して、税理士として悪い冗談かと、怒りを通り越して呆れ果てるほかありません。

この件については、最初の報道からかなりの時間が経ちますが、日本税理士会連合会が何 らかの意見表明を行われた形跡は確認できません。よもや忖度されているとは推量いたしませんが、今こそ、日本税理士会連合会が、監督官庁である財務省及び国税庁に対し、今回の不祥事により税理士が抱く不信感に対する釈明を求め、その結果を「税理士界」に掲載することを強く求めます。
以上