主張・提言

税経新人会全国協議会は、1月20日に行われた全国常任理事会で、次の要望書を採決し、2月9日に日本税理士会連合会会長宛てに送付しました。

日本税理士会連合会
会長 神津 信一 殿

税経新人会全国協議会
理事長 土屋 信行


「税理士界」の編集はどうあるべきか(苦情及び要望)

2017年10月15日付「税理士界」の「北極星」の記事に関し次のとおり要望します。
(要望事項)
本文書を受領した直後の編集可能な号において、「2017年10月15日付「税理士界」の「北極星」欄において、不適切な表現がありました。お詫びいたします。」の一文を掲載すること。
日本税理士会連合会(以下、日税連)ホームページ上に掲載される「税理士界」のバックナンバーにおいて、不適切記事の全文を白抜きとすること。
白抜きした部分には「当該記事は不適切な表現があったので削除しました。」との一文を掲載すること。
今後、不適切な記事が掲載されないよう、チェック体制を充実すること。

(苦情の対象となる日税連の行為)
2017年10月15日付「税理士界」の「北極星」欄において、税政連の活動と重要性を紹介し、加入率が低下している現状を述べた上で、重要性を周知しようと述べています。これは、自らが参加する特定の政治家を支援する目的の団体の会員が減少傾向にあるため危機意識を持って奮闘するという、個人的な政治的決意を述べたものであろうが、こともあろうか日税連の公式広報紙に掲載されたものです。

(本書状を提出するに至る理由及び苦情)
以下の理由により、日税連執行部が日税連及び税理士全体の品位を汚す行為を行ったので苦情を申し上げます。

日税連は、税理士法49条の14により、「税理士会及びその会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行い、並びに税理士の登録に関する事務を行う」と法律で目的が定められ設置が義務付けられている公益目的法人です。同条4項において税理士会は当然に日税連の会員とされ、税理士は同法49条の6により当然に税理士会の会員となるものと定められています。

一方、税理士政治連盟は、税理士法や税制改正要望などを目的とするとしつつ、その手段は特定の政治家への寄付や当選を目的とした政治団体です。

両者の関係はどうあるべきかは、南九州税理士会政治献金事件(通称、牛島裁判)最高裁判決において概要以下のとおり明示しました。

税理士会が政党など規正法上の政治団体に金員の寄付をすることは、法49条2項で定められた税理士会の目的の範囲外の行為であり、右寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の決議は無効であると解すべきである。

税理士法が税理士会を強制加入の法人としている以上、その構成員である会員には、様々の思想・信条及び主義・主張を有する者が存在することが当然に予定されているから、税理士会の活動にも、会員に要請される協力義務にも、限界がある。

つまり、日税連及び税理士会が政治団体へ便宜を図ることは認められません。公益目的団体が法の趣旨を尊重し、不適切な行動を行わないよう慎むことは団体の品位に関わる問題です。

ところで、日税連の公式広報誌である「税理士界」に掲載可能な事項は次の内容と考えます。法に定める目的である会務に関する情報、税理士業務に関するものに加え、社会的に容認できる範囲の趣味嗜好など会員の文化交流的な話題程度と考えます。少なくとも一方的な政治的立場を容認または批判して、対立を煽るような情報は好ましいとは言えません。

今般の記事のように特定の政治家の当選を目指す団体への支援を申し述べることは、政治的中立性を失する編集である上に、政治的対立を煽る行為です。たとえ、当該団体が税制改正建議への支援や税理士の立場を守る目的を有していたとしても、手段が法の趣旨を曲げる理由はありません。建議の趣旨や税理士の立場を政府や国会に理解していただくのであれば、全政党、全国会議員に対して日税連自らが説明を果たすことが本旨であると考えます。

以上の論点から、日税連の機関紙を編集する者は、苟も公益目的団体の広報事務を預かるという責任ある立場をわきまえ、品位を汚す行為を慎むよう特段の配慮を行うべきと考えます。
以上